不動産コラム【R6/11/7】防災・減災と不動産 ~ ③ハザードマップ

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近年、九州北部豪雨や熊本地震のみならず、能登半島での地震や記録的豪雨、また山地では大雨や雪による被害等、全国各地で大きな被害が発生するような自然災害が頻発しています。これらに備えるのは非常に重要です。備蓄や防災リュック等による備えはとても大切ですが、自分が住んでいる場所、これから住まいを構えようと考えている『土地』の地形や災害について知っておくことも大事ではないかと思います。
10月は国土交通省が定めた『土地月間』でした。この時期に土地取引や家の購入や相続について考えたり、専門家へ相談された方は多かったのではないでしょうか。
土地取引の際、契約締結前に重要事項説明を行いますが、令和2年(2020年)8月28日より、水防法に基づく水害ハザードマップ(洪水、雨水出水、津波又は高潮による水災)の説明もこの重要事項説明の対象項目として追加されました。
また、令和元年(2019年)には国土地理院より『自然災害伝承碑』という地図記号が新しく発表され、周知を図っています。

重要事項説明:宅建士による説明義務

重要事項説明(=重説)とは、宅建士が不動産の売買や賃貸の契約の締結をする前に、買主や貸主に対して行う説明のことを言います。物件の状況や権利について「聞いてなかった」「知らなかった」というような事がないように、『重要事項説明書』を用いてしっかりと説明する義務があります。
これまでは対面で行われなければならなかった重要事項説明ですが、近年、ITの活用を広げるために国土交通省がIT重説の運用を開始しており、オンラインでの重要事項説明が可能となりました。リモートワーク等が増えているので、今後ますますIT重説の制度を利用されていくことが期待されています。

ハザードマップ
ハザードマップとは一般的に「自然災害による被害の軽減や防災対策に使用する目的で、被災想定区域や避難場所・避難経路などの防災関係施設の位置などを表示した地図」とされており、災害の被害予測を表すもので、被害想定図等と呼ばれていたりします。市町村等の各自治体が洪水や高潮、土砂災害、火山、地震等災害の種類ごとに作成し、誰でも確認することができます。(一部の地域しか作成されていなかったり、最新のものではないこともあります)
また、防災マップとは災害発生時の避難行動を重視したもので、主に避難経路や避難場所について記載されています。

ハザードマップの公開によって、災害リスクが視覚的に分かるようになっていますが、これにより不動産の地価が影響することはほとんどありません。
不動産は
1. 公的価格:公示価格・基準地価格・路線価・固定資産税評価額
2. 実勢価格:実際の売買取引価格(時価)
等を参考にして査定をおこないます。公的価格は国家資格を持った不動産鑑定士が調査に関わっています。災害が発生する危険性があったり、被災の影響がある場所ならば、不動産鑑定評価を行う時点でその土地の状態が考慮された価格を算出しているので、不動産査定を行う際に更に加味されて下がるということはないでしょう。

自然災害伝承碑
国土地理院が発表をしている地図記号の中で、一番新しい記号は、令和元年(2019年)にできた『自然災害伝承碑』です。これは、過去に起きた津波、洪水、火山災害、土砂災害等の自然災害の情報を伝える石碑やモニュメントを表しています。多くは被災場所に建てられているので、その土地で過去にどのような災害が起こったかを知ることができ、訓練や災害リスクを具体的に考えることができます。今現在、全てではありませんが、申請のあった自治体より順に伝承碑の登録がされています。
2024年10月31日時点では全国637市区町村2,206基の伝承碑が公開されています。また、2021年11月より国土地理院のハザードマップポータルサイト『重ねるハザードマップ』へ掲載されるようになったので、意外な場所での災害に気付くことがあるかもしれません。
(自然災害伝承碑がないので被災しないとは言えません。自治体が石碑の存在を把握していない場合や、現在登録申請中、また、開発等により過去に石碑を移転・撤去した等の可能性があります。ご注意ください。)

 

ハザードマップで災害のリスクがあると表示されていたり、自然災害伝承碑が近くにあるからといって、その場所に住めないということではありません。どのようなリスクがあるのか、対策はどうすればよいか等、過去のことを知り、今後に備えればよいのです。近年「50年に一度」、「100年に一度」等と呼ばれる想定外の災害が各地で起こっています。災害はいつどこで起きるか分かりません。現在住まわれている場所も、購入を考えている場所でも、その地域には生活・交通の利便性や地理的環境等、さまざまな面でのメリット・デメリットがあります。その中で不安があると考えた時に、火災保険や地震保険を検討することもリスク回避の手段の一つだと思われます。

 

弊社では不動産に関する経験豊富なスタッフが懇切丁寧にご説明、お手伝いをさせていただきます。

不安や疑問等がある場合は、是非ご相談ください。

 

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