不動産コラム【R6/7/10】不動産の生前贈与 ③生前贈与の流れと注意点

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先日、2024年分の路線価が公表されました。路線価とは、国税庁が公表しており、1月1日時点の主要道路に面した土地1㎡当たりの評価額のことです。国土交通省が3月に公表する公示地価の8割ほどに設定されており、人口の増減や、新型コロナウイルスによる経済活動等、様々な背景により変動します。大分県内の標準宅地の対前年変動率は、平均1.8%上がり、3年連続で上昇しました。
路線価は、生前贈与に課される相続税や贈与税の算定基準となっています。

不動産の生前贈与:生きている間に土地や建物を特定の相手に譲ること

『相続』とは、亡くなった時にその人の財産を特定の人が引き継ぐことであり、『生前贈与』とは、生きている間に財産を特定の人に譲渡することです。その際に相続税や贈与税が課せられます。近年、亡くなる人のおよそ10人に1人は相続税がかかっており、相続税を支払う人の割合は年々増えています。贈与税については、税制が改正され、2024年1月より、生前贈与加算の対象期間が3年以内から7年以内に延長されました。
相続税の計算と贈与税の計算では、税率が違いますが、生前贈与することによって相続税を軽減できることがあります。そのため、相続税の対策として生前贈与を行う方もいますが、2023年12月に『空き家法』と呼ばれる、空き家等対策の推進に関する特別措置法の改正により、相続した建物を空き家のままにしていると、リスクが高まることがあります。
今回は不動産の生前贈与についての流れと注意点などをご紹介します。

 

不動産の生前贈与の流れ

土地や建物などの不動産を生前贈与する場合の流れは以下の3つです。

●財産を贈与する:贈与の記録(契約書)の作成
・贈与は「あげる」と「もらう」の双方の意思疎通があれば、口頭でもこの契約は成立します。しかしながら、あとで争いが起きることを避けるためにも、贈与契約書には実印を押印し、日付が記載される必要書類は、しっかりと残しておくことが大切です。

●財産の贈与:名義変更登記を行う
・贈与の契約書が整ったら、不動産を管轄する法務局で所有権移転登記を行い、名義変更をします。法務局へは、登記申請書の他に住民票や固定資産評価証明書、印鑑証明書などの付属書類の提出が必要になります。

●贈与税の申告・納税を行う
・贈与税は、贈与を受けた人が払います。贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までの間に税務署へ申告を行い、贈与を受けた翌年の3月15日までに納付をします。贈与税の控除や特例を使用する際には、相続時精算課税選択届出書等の添付書類が必要となります。
※生前贈与は、贈与税の対象です。一定の条件がありますが、税負担を軽減できる特例もあります。そのため、節税対策として利用されることがあります。
(特例が使えない・名義変更などで費用がかかる等の理由で、相続のほうが良い場合があります。)

不動産の生前贈与における注意点

不動産の生前贈与における注意点としては、以下のものがあります。

●生前贈与は贈与者が元気なうちに
・贈与する者(贈与者)が認知症や加齢によって意思疎通ができないと診断されると、贈与などの契約行為ができなくなってしまいます。そのため、贈与者が元気なうちに生前贈与の契約を行うことをおすすめします。

●贈与契約書を作成する
・生前贈与は口約束でも成立します。しかしながら、いつ成立したのかを証明できないと、生前贈与をしていたとしても税務署に認めてもらえず、相続税が発生してしまいます。また、贈与による所有権移転登記において、添付書類として贈与契約書が必要です。トラブルを防ぐためにも、日付の記載、署名、実印の押印、印紙の貼付などをしっかりと行うとよいでしょう。

●相続開始前7年以内の贈与に注意!
・これまでは亡くなる3年以内の贈与は相続財産に加算されていました。税制が改正され、2024年以降に贈与される財産については、7年以内の贈与が相続税の対象となりました。ただし、加算年数は段階的に延長されるので、3年以上になるのは2027年以降であり、7年加算が適用されるのは2031年1月以降に相続が発生した場合とされています。

 

◆現金や預貯金などの贈与とは異なります。贈与する時期や相続の際に使える特例などもあるので、それらも考慮するとよいでしょう。

 

 

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