マンションの大規模修繕工事が始まると、建物の資産価値向上というプラスの側面がある一方で、実際に生活する住民にとっては「不便さ」を感じる場面も増えてきます。
今回は、工事中に起こりやすいトラブルや、住民間の不満を最小限に抑えるために、どのように工事を進め、どんな工夫や準備が必要なのかをお伝えします。
1.工事中に発生しやすい住民の不満とは?
大規模修繕では、足場の設置や外壁の補修、防水工事、塗装など、多くの工程が発生します。工事期間は通常3〜6か月程度に及び、以下のような不満が住民から寄せられることが少なくありません。
騒音や振動:日中にドリルやハンマーの音が響くことがあり、特に在宅勤務の方や乳幼児のいる家庭ではストレスの原因になります。
洗濯物が干せない:バルコニーが作業区域となるため、洗濯物が外に干せず、湿気や室内干しの悩みが増えることも考えられます。
工事関係者の立ち入り:共用部分だけでなく専有部分(バルコニーなど)にも立ち入りが発生し、「プライバシーが気になる」という声も出がちです。
生活動線の制限:エレベーターの使用制限や、駐車場・駐輪場の一時的な使用禁止も、日常生活に影響します。
これらの不満は、予測していればある程度覚悟ができますが、「知らされていなかった」ことがトラブルの引き金になることが多いのです。
2.管理組合・理事会の役割と重要性
工事がスムーズに進み、住民が安心して暮らせる環境を維持するためには、「管理組合」や「理事会」の役割が非常に重要です。
●工事スケジュールや内容の共有
全戸に向けて掲示板や配布資料、オンライン配信などで定期的な情報発信を行い、事前に住民の不安や疑問を減らすことが大切です。
●住民からの意見・苦情の受け皿になる
理事会が窓口となり、意見や苦情を一元管理し、必要に応じて施工業者と調整を行う体制を整えることが望まれます。
●「住民代表」として意思決定に関与する
施工方法や工程変更、予算の調整など、重要な決定には理事会が関わります。公平性や透明性を保つことも信頼につながります。
3.トラブル回避のための情報共有と合意形成のコツ
住民トラブルの多くは「説明不足」や「すれ違い」から生まれます。そこで重要になるのが、情報共有の工夫と住民間の合意形成です。
●定期的な説明会・掲示板での周知
工事前・中・後に説明会を実施し、質問や不安に直接答える機会を設けることで、信頼関係を築けます。掲示板だけでなく、メールやアプリなど、複数の情報伝達手段を併用すると、周知漏れを防げます。
●住民の声に耳を傾ける仕組みを
意見箱やオンラインフォームを設け、気軽に意見を出せる場を用意しましょう。どんな小さな意見でも、「聞いてもらえた」と感じるだけで、不満の高まりを防ぐことができます。
●トラブル時の対応ルールを事前に決めておく
苦情やクレームが発生した場合の対応ルール(誰が対応するか、どこに連絡するか)を明確にしておくことで、現場が混乱するのを防げます。
4.我慢の工事期間を、少しでも快適にするために
大規模修繕は、マンション全体の将来にとって欠かせない工事ですが、住民にとっては数ヶ月にわたる「我慢の時期」でもあります。その中でトラブルや不満を最小限に抑えるには、「管理組合・理事会の工夫」と「住民の理解」が両輪となって進んでいくことが重要です。
準備から工事完了までには数年単位での時間がかかります。
特に、工事期間中には様々な負担が生じますが、普段の生活の中で、いつもよりテレビや音楽の音量を大きくしたり、趣味を楽しんだり、外出をしたりする等、我慢をしない工夫も大切です。
工事は「住まいを守るための一時的なもの」――その意識をみんなで共有できれば、多少の不便も乗り越えやすくなるでしょう。
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