不動産コラム【R5/8/8】物件調査の概要

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物件調査 第三回:受付(聞き取り調査)後編

今回は物件を調査する際の受付(聞き取り調査)についてご紹介します。    

1)当事者の意思能力・行為能力

①意思能力

自分の行為の結果を認識し、判断できる能力のことです。例として、幼年者は自分の行為の結果を認識し、その結果に対する判断をすることは出来ません。

契約が有効に行われるためには正常な判断能力が備わっている状態で行われることが前提となるため、当事者が意思表示をしたときに意思能力がなければ、その契約は無効となります。

そのため、不動産取引を行う際にも、意思表示を行う人の意思能力を確認する必要があります。聞き取り調査や雑談を通じて、意思能力に問題はないか、意思能力がないと判断される可能性はないかを確かめる必要があります。

当事者が高齢者の場合に、その意思能力に疑念が生じることがあります。そうしたケースでは、医師・弁護士等の判断を求める必要があります。

②行為能力

単独で財産を管理し、有効に契約などの法律行為を行うことができる能力のことです。行為能力が十分ではないと認められる者は、制限行為能力者(未成年者・成年被後見人・被保佐人・被補助人)として、その財産を保護する制度が、民法によって設けられています。制限行為能力者が単独で行った契約などの法律行為は、取り消される場合もあります。

本人の行為能力に疑念がある場合には、必ず確認を行います。成年後見制度については「登記事項がないことの証明書」の交付を受け、未成年者かどうかは戸籍謄本・住民票等で年齢を確認できます。

2)売主からの告知書の提出

対象不動産について、過去の履歴や隠れた瑕疵の有無など、所有者しか知り得ない情報が存在することもあります。そこで、「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」には、「宅地又は建物の過去の履歴や性状など、取引物件の売主や所有者しか分からない事項について、売主等の協力が得られるときは、売主等に告知書を提出してもらい、これを買主等に渡すことにより将来の紛争の防止に役立てることが望ましい」と規定されています。

3)売買に関する告知書の提出

①土地関係:境界確定の状況、土壌汚染調査等の状況、土壌汚染等の存否または可能性の有無、過去の所有者と利用状況、周辺の土地の過去および現在の利用状況。

②建物関係:新築時の設計図書等、増改築および修繕の履歴、石綿の使用の有無の調査結果の存否、耐震診断の有無、住宅性能評価等の状況、建物の傾き、腐食等の存否または可能性の有無、過去の所有者と利用状況等。

③その他:消費生活用製品安全法に規定する特定保守製品の有無、所有者から引き継いだ資料、新築・増改築等に関わった建設業者、不動産取得時に関わった不動産流通業者等。

売主等の告知書を買主等に渡す際には、当該告知書が売主等の責任の下に作成されたものであることを明らかにすることが必要です。

 

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