不動産コラム【R4/9/20】 心理的瑕疵の告知義務

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トラブル防止の観点からの心理的瑕疵の告知義務

心理的瑕疵は、裁判例上、

「目的物の通常の用法に従って利用することが心理的に妨げられるような主観的な欠陥」

「通常人として耐え難い程度の心理的負担を負うべき事情」

等と表現され、物件で自殺や殺人、火災による死亡等があったという事実がこれに当たります。

物件の瑕疵には、客観的な物理的瑕疵のみならず、前記のような心理的瑕疵も含まれることが確定した判例法理となっています。

心理的瑕疵に該当するような事実は、物件の買主、借主からすれば、契約を締結するかどうかの判断に影響を及ぼす重要な事項ですので、物件の売主、貸主や仲介事業者は、民法や宅地建物取引業法等に基づき、当該事実について告知義務を負い、これに違反した場合には、損害賠償責任を負うことになります。

Question 

心理的瑕疵に該当する事実の告知義務を貸主、売主や仲介事業者はいつまでも負うことになるのでしょうか?

Answer

裁判例上は、

【時間希釈の原則】心理的瑕疵に該当する事実への嫌悪感は、時間の経過により希薄化し、やがてその影響は消滅するという考え方

が示されており、当該事実が発生してから一定の期間が経過した場合には、売主、貸主や仲介事業者は、当該事実について告知義務を負わないと考えることができます。

もっとも、当該事実が、自殺か殺人か火災による死亡かによっても、その事実に対する嫌悪感が消滅するまでにかかる期間は異なると考えられることからすると、告知義務の存否の判断は容易ではありませんので、後日トラブルを招かないためにも、知っていることは告知しておくほうが良いでしょう。

        

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