不動産コラム【R5/12/27】所有者不明土地の解消へ(民法改正)

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所有者不明土地の『発生の予防』と『利用の円滑化』:土地利用に関する民法のルールの見直し①

土地利用に関する民法のルールの見直し~相隣関係の見直し~ 

 相隣関係とは、隣り合わせの土地の所有者の間の関係、ここではお互いの不動産の利用を調整しあう関係を指します。例えば、隣地から境界線を越えて伸びてきた枝を切る場合や、電気・ガス・水道といったライフラインを設置する場合など、隣地を使用する必要が生じることがあります。しかしながら、隣地が所有者不明土地の場合は、すぐに必要な同意を得ることができず、土地を円滑に利活用することはできません。そこで、隣地を円滑・適正に使用できるよう、相隣関係に関するルールの様々な見直しがされました。ここではいくつか例を挙げて説明します。 

隣地使用権

これまで、土地の所有者は、『境界またはその付近において障壁または建物を築造し、または修繕するため必要な範囲内で隣地の使用を請求することができる』とされていました。しかし、それ以外の目的で隣地を使用することができるかどうかは不明確であったり、所有者不明土地の場合の対応が困難であったりと問題が生じていました。 

 そこで、今回の民法改正では、

①隣地使用権の内容に関する規律の整備

②隣地使用が認められる目的の拡充と明確化 

が図られました。これにより、隣地所有者・隣地使用者(賃借人等)の利益への配慮を要しますが、土地の所有者は所定の目的のために必要な範囲内で、隣地を使用する権利を有する旨が明確化されました。 

(隣地使用に際しては、損害が最も少ないものを選ぶなど、原則隣地所有者・隣地利用者への配慮と通知が必要です。例外もあります。) 

越境した竹木の枝の切り取り

旧民法において、土地の所有者は、隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、自らその根を切り取ることができますが、枝が境界線を越えるときはその竹木の所有者に枝を切除させる必要がありました。しかしながら、枝が越境する度に切除する請求をしたり、隣地の所有者が非協力的な場合や所有者不明土地の場合、竹木の円滑な管理を阻害してしまう等の問題点がありました。

 民法改正では、①土地所有者による枝の切取り、②竹木の共有者各自による枝の切除 が定められました。 

 ① 土地所有者による枝の切取り~越境された土地の所有者は、竹木の所有者に枝を切除させる必要があるという原則を維持しつつ、次のいずれかの場合には、枝を自ら切り取ることができることとされました。(ⅰ:竹木の所有者に越境した枝を切除するよう催告したが、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき  ⅱ:竹木の所有者を知ることができず、またはその所在を知ることができないとき  ⅲ:急迫の事情があるとき) 

 ② 竹木の共有者各自による枝の切除~竹木が複数人の共有物である場合、各共有者は他の全ての共有者の同意を得なくても枝を切り取ることができるようになりました。これにより、越境された土地の所有者は、竹木の共有者の一人に対して、その枝の切除を請求でき、判決によっては代替執行が可能となります。 

※道路を所有する国や地方公共団体も、隣接地の竹木が道路に越境してきたときは、新たな規律によって枝を切り取ることが可能となります。また、上記ⅰにあります「相当の期間」とは時間的猶予を与える趣旨で、2週間程度と考えられていたり、他にもいくつかの特記事項があります。詳細につきましては、法務省ウェブサイトをご覧ください。もしくは弊社へお気軽にお問い合わせください。

ライフラインの設備の設置・使用権

ライフラインとは電気や水道、ガスなどの生活に必要不可欠な設備のことをいいます。

 これまではライフラインに関する直接の規定がありませんでした。そのため、他人の土地や設備(導管等)を使用しなければ各種ライフラインを自己の土地に引き込むことができない土地の所有者は、解釈上、改正前の相隣関係規定等の類似した法規を適用していました。ですが、他人の土地への設備の設置や他人の設備の使用においては、応じてもらえなかったり、償金の支払い義務の有無などのルールが不明確で、不当な承諾料を求められたりするケースがありました。 

 今回の民法の改正では、権利が明文化され、

①ライフラインの設備の設置・使用権に関する規律の整備

②事前通知の規律の整備

③償金・費用負担の規律の整備 

が定められました。 

 

弊社では不動産に関する経験豊富なスタッフが懇切丁寧にご説明、お手伝いをさせていただきます。不安や疑問等がある場合は、是非ご相談ください。 

 

 

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