不動産コラム【R6/1/10】所有者不明土地の解消へ(民法改正)

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所有者不明土地の『発生の予防』と『利用の円滑化』:土地利用に関する民法のルールの見直し②

土地利用に関する民法のルールの見直し~共有地の利用の円滑化などの共有制度の見直し~ 

土地を相続する際に、所有者についての登記が行われない等の理由で、誰が所有者になっているのか分からない土地が現在とても増えています。共有状態にある不動産で、一部の相続人の所在等が不明な場合には、共有者間でその土地の利用に関する意思決定ができなかったり、処分ができない為に公共事業や民間取引を阻害していたりといった問題が指摘されています。また、所有者不明土地の問題をきっかけに、共有物一般についてのルールが現代に適していないことが明らかになりました。そこで、共有物の利用促進や共有関係の解消をしやすくする観点から、共有制度全般について様々な見直しが行われました。

共有物の利用促進

今回の民法改正では、 

①共有物の「管理」の範囲の拡大・明確化

②共有物を使用する共有者がいる場合のルールの明確化・合理化

③賛否を明らかにしない共有者がいる場合の管理に関するルールの合理化

④所在等不明共有者がいる場合の変更・管理に関するルールの合理化

⑤共有者が選任する共有物の管理者のルールの整備

⑥共有の規定と遺産共有持分に関するルールの整備

が図られ、共有物にわずかな変更を加えるために必要な要件が減少され、全員の同意は不要となり、持ち分の過半数で決定できるようになりました。所在等が不明な共有者がいるときは、ほかの共有者は地方裁判所に申し立て、その決定を得て、残りの共有者による管理行為や変更行為が可能となります。

共有関係の解消をしやすくするための仕組み

 旧民法では、不明共有者がいる場合には、利用に関する持分の集約が困難であり、氏名等が不特定だと対応できないケースもありました。今回の民法改正では、

①裁判による共有物分割

②所在等不明共有者の不動産の持分の取得

③所在等不明共有者の不動産の持分の譲渡

について整備がされました。これにより、所在等が不明な共有者がいる場合は、ほかの共有者は地方裁判所に申し立て、その決定を得て、所在等が不明な共有者の持分を取得したり、その持分を含めて不動産全体を第三者に譲渡したりすることが可能となります。

 

※遺産共有のケースでは、相続開始から10年を経過しなければ利用不可(新民法262の2Ⅲ)など、特記事項があります。詳細につきましては、法務省ウェブサイトをご覧ください。もしくは弊社へお気軽にお問い合わせください。

関連リンク

法務省「所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し(民法・不動産登記法等一部改正法・相続土地国庫帰属法)」

弊社では不動産に関する経験豊富なスタッフが懇切丁寧にご説明、お手伝いをさせていただきます。不安や疑問等がある場合は、是非ご相談ください。

 

次回は『財産管理制度の見直し』等についてご説明します。

 

 

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