不動産コラム【R6/1/26】所有者不明土地の解消へ(民法改正)

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所有者不明土地の『発生の予防』と『利用の円滑化』:土地利用に関する民法のルールの見直し③

土地利用に関する民法のルールの見直し~土地・建物に特化した財産管理制度の創設~

所有者不明土地・建物や管理不全の状態にある土地・建物は処分等が困難になり、公共事業や民間取引を阻害したり、所有者が判明していても適切な管理をされないことによって危険な状態になり、近隣に悪影響を発生させたりするなどの問題が起きるきっかけになります。これまでは、適した財産管理制度がなく、管理が非効率になりがちでした。そこで、所有者が不明だったり、所有者が適切に管理していなかったりする特定の土地や建物の管理のみに特化した財産管理制度が新たに設けられました。

今回の民法改正では、 

①所有者不明土地・建物の管理制度の創設

②管理不全土地・建物の管理制度の創設 等

が図られました。これにより、調査を尽くしても所有者やその所在を知ることができない場合や、所有者による管理がされないことによって近隣など他人の権利・利益が侵害されてしまう場合(そのおそれがある場合も含む。)に、利害関係のある人が地方裁判所に申し立てることで、その土地・建物の管理を行う管理人を選任してもらうことができるようになります。

土地利用に関する民法のルールの見直し~相続制度(遺産分割に関する新たなルールの導入)~

遺産分割は、法定相続分を基礎としつつ、生前贈与を受けたことや、献身的に療養看護などをされていたことなどの個別の事情を考慮して具体的な相続分を算定するのが一般的です。相続が発生してから遺産分割をされないままで長時間放置していると、更に複数人の相続人が共有することになるので、遺産の分割や管理・処分がますます難しくなるといった問題が生じます。

旧民法では、不明共有者がいる場合には、利用に関する持分の集約が困難であり、氏名等が不特定だと対応できないケースもありました。今回の民法改正では、

①遺産分割に関する見直し

②具体的相続分による遺産分割の時的限界

③遺産共有と通常共有が併存している場合の特則

④不明相続人の不動産の持分取得・譲渡 等

について整備されました。これによって相続が開始されてから10年を経過したときは、個別の案件ごとに異なる具体的相続分による分割の利益を消滅させ、画一的な法定相続分で簡単に遺産分割を行えることになりました。相続人の中に所在等が不明な共有者がいる場合は、ほかの共有者は地方裁判所に申し立て、その決定を得て、所在等が不明な共有者の持分を取得したり、その持分を含めて不動産全体を第三者に譲渡したりすることが可能となります。

関連リンク

法務省「所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し(民法・不動産登記法等一部改正法・相続土地国庫帰属法)」

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次回は『土地を手放すための制度~相続土地国庫帰属制度~』についてご説明します。

 

 

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