敷地権付マンション購入後、賦課金請求が…
Question
令和2年5月、買主Aは売主事業者Bから敷地権付マンションを購入しました。このマンションの敷地はC土地区画整理組合が行う土地区画整理事業の施工区域内に位置していましたが、売買当時、敷地所有者が賦課金を徴収されるという話しはありませんでした。ところが、その後、C土地区画整理組合は、保留地の処分が思うようにいかず事業費が不足するとして、敷地所有者から賦課金を徴収するという決議をしました。そのため、買主Aは、賦課金として100万円を負担することになったのです。
これを受けて、Aは、売主Bに対し①賦課金の徴収が契約不適合であること、および②賦課金徴収の説明がなかったことが説明義務違反(不法行為)であることを理由に、損害賠償請求をしたいと言っているのですが…
Answer
売買当時に賦課金の徴収の可能性が顕在化していなかったため、契約不適合責任・説明義務違反いずれの損害賠償責任も負うことはないでしょう。
契約不適合責任とは、売買目的物の種類・品質・数量が契約の内容に適合しない場合に、売主が買主に対して負う責任の事です。本事例では、売買当時には、一般的・抽象的な可能性を超えて賦課金を課されるという具体的な可能性まではありませんでした。
本事案と同様のケース(ただし、改正前民法が適用される事案)において、最高裁平成25年3月22日判決は、買主が売買後に土地区画整理組合から賦課金を課される一般的・抽象的な可能性が常に存在しているとした上で、賦課金を課される可能性が存在していたことをもって、売買において予定されていた品質・性能を欠いていたという事はできないと判断し、瑕疵を否定しています。従って、本事案においては、売買当時に賦課金が発生するという具体的な可能性まではなく、一般的・抽象的な可能性しかなかったため、契約不適合があるとはいえず、契約不適合責任や説明義務違反は認められないと考えられます。
※土地区画整理事業の主な財源は、保留地の売却により充当されますが、経済情勢の変化等により、やむを得なく値下げ売却した場合など、収入金が不足することがあります。 この不足した収入金を、組合員から公平に負担していただく金銭を「賦課金」といいます。 賦課金の額及び賦課徴収の方法は、総会又は総代会での議決が必要となります。