不動産会社が仲介を途中で買取に変更して利益を得るのは不法行為?
Question
不動産業者Zは、Aから土地建物の売却について仲介依頼を受けていましたが、売買がなかなかまとまらなかったことから、Aから土地建物を1500万円で買い取ることにしました。Aが土地建物を1500万円でZに売ると意思表示してから半年間、転売先を探していたところ、Aの隣人であるBが、その土地建物を2100万円で購入したいと伝えてきました。そこで、Zは、同一日に、A・Z間の売買契約とZ・B間の売買契約を締結し、その結果、600万円の差益を得ました。
その後、Aが死亡し、Aの財産を相続したCが、この売買取引においてZには信義誠実義務違反があると主張。Zに600万円から媒介報酬額相当を差し引いた524万1000円の損害を賠償するよう求めてきました。
Answer
不法行為であり、宅建事業者は損害を賠償しなければなりません。
宅地建物取引業法第46条は、宅建事業者による代理または媒介の報酬について制限を設け、これを超える契約部分は無効としています。また、宅建事業者は、宅地建物取引業法第31条1項により、信義誠実義務を負担しています。これらのことから、宅建事業者が媒介契約ではなく売買契約により取引をする場合は合理的根拠が必要であり、売買契約によるべき合理的根拠がない場合、宅建業者は、売買による取引ではなく、媒介契約による取引に止めるべき義務を負担しています。
本事例では、Aが売却の意向を示してから契約まで半年間が経過しており、不動産取引のスピードが早まったわけではなく、売買契約上、特にAに有利な条項が規定されていたわけでもありません。その他、売買契約によることにつき合理的根拠は見受けられないため、Zは媒介契約による取引に止めるべきであり、合理的根拠なく売買契約を締結したといえます。この点、本事例と同様、宅建事業者による売買契約の合理的根拠の存否が問題となった事例において、福岡高等裁判所は、売買契約によるべき合理的根拠がなかったとして、宅建事業者の損害賠償責任を認めています。
よって、Zは、Cが被った損害を賠償しなければなりません。
大分の不動産売却のことならオンリーワンへ★