購入者に「賃貸に出せばローン控除は受けられない」と説明しなかった宅建事業者の責任は?
Question
一般企業に勤務するAは、宅建事業者Zとの間で、住宅ローンを利用して、自己居住用としてマンションの1室の売買契約を締結しました。その際、Zは、将来Aが購入物件を賃貸に出した場合、ローン金利が変更される可能性や住宅借入金等特別控除(住ローン控除)の適用が受けられなくなることを説明しませんでした。
Aは、子供が出来て手狭になった場合には引っ越して購入物件を賃貸に出したいと考えていたとし、売買契約締結時に、前記の説明をしなかったのは不利益の不告知に当たるから、消費者契約法第4条2項により売買契約を取り消すと主張。Zは、賃貸の可能性を具体的に認識していたわけではなく、また、住宅ローン控除の要件として、購入物件が自己居住用であることが必要であると明記された書面を交付したのだから、Aの主張は認められないとして争っています。
Answer
買い手の予定を把握していなかったのであれば不利益事実の不告知には該当しません。
消費者契約法は、事業者と消費者間の契約に適用される法律です。同法第4条2項では事業者が重要事項について不利益となる事実を故意に告げなかったことにより、消費者が、当該事実が存在しないと誤認したときは、契約を取り消すことができると想定しています。本事例では、Aは一般企業に勤務する消費者であり、自己居住用として売買契約を締結していますから、売買契約には消費者契約が適用されます。
もっとも、本事例では、Aが将来マンションを賃貸することを検討しているとZが明確に把握していたとまではいえません。そうだとすると、Zが、将来Aが購入した物件を賃貸に出した場合にローン金利が変更される可能性を説明しなかったことが、重要事項の不利益事実の不告知に該当するという事はできません。またZは、住宅ローン控除の要件として、購入物件が自己居住用であることが必要であると明記された書面をAに交付していますから、やはり重要事項の不利益事実の不告知に該当するとはいえません。
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