不動産トラブル【R3/6/9】 説明義務(自殺)

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20年前に建物で殺人と自殺。更地になった土地の説明義務。

Question

Aは、不動産会社Zの仲介により、マイホーム建築目的で土地を購入しました。ところが、当該土地上にかつて建てられていた建物の居住者の1人が殺人事件を起こし、また、その建物で自殺があったことが判明しました。この自殺があったのは20数年前で、すでに建物は取り壊され、土地は更地の状態でしたが、殺人事件が社会的耳目を集めたことで自殺等があったことは近隣住民の記憶に残っていました。

そこで、Aは、遅くとも代金決済前には、当該土地が自殺等にかかる事故物件であることを認識していたのに説明をしなったとし、説明義務違反を理由に損害の賠償を求めました。Zは、自殺が売買契約の20年以上前の出来事であることや建物はすでに取り壊されていたことなどから、自殺等の事実は、売買契約の効力の判断に重要な影響を及ぼす事実でない

ので、損害を賠償する必要がないとして争っています。

Answer

仲介業者は、売主が被った損害を賠償しなければなりません。

不動産会社は、売買の仲介において、購入希望者が売買契約を締結するか否かの判断に重要な影響を及ぼす事実について説明義務を負担します。不動産会社はこのような重要な事実を、売買契約の締結後であっても、代金決済前に認識した場合には、契約の条件、契約内容の判断に重要な影響を与える事実である以上、説明する義務があります。

このように、契約成立時には判明していなかった重要事項が、代金決済前に判明することがあります。このような場合でも、不動産会社は購入希望者に対して説明する義務があることをまず押さえておく必要があります。

そして、本事例では自殺が20年以上前の出来事で、しかも自殺のあった建物はすでに取り壊されていたのに、不動産会の説明義務違反が認められた、という点が大きな特徴となっています。裁判所は、自殺の事実が近隣住民の記憶に残っていたことや、土地の購入目的が土地上にマイホームを建築して買主が永続的な生活の場とすることにあったという事情を、宅建業者の責任を認めた理由に挙げています。