不動産トラブル【R4/4/26】雨漏りに対する責任追及

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購入した建物に雨漏りが発生。施工事業者に損害賠償を請求できる?

Question

宅建事業者Zは、施工事業者Mが施工した賃貸マンション1棟の売買を仲介しました。なお買主Aと売主Bとの売買契約では、Bが契約不適合責任を負う期間が引き渡し後3ヵ月間であると定められていました。Aがマンションを購入してから約1年後、台風の影響で大雨が降った際、マンション1階店舗の天井から漏水が発生しました。そこで、Aが専門事業者に依頼して調査したところ、この漏水の原因は、①2階外壁の貫通孔から侵入した雨水が壁を伝って2階床のコンクリートスラブ上に滞留し、②コンクリートスラブの開口部(施工時に資材を移動させるために設けられたもの)を埋め戻した際の打ち継ぎ面の隙間を通って1階に滴下する、というものでした。

この漏水を受け、Aは調査・補修に費用を支出したほか、雨漏りの補修が完了するまでの間、1階店舗の賃料収入を得ることができませんでした。しかしA・B間の売買契約ではBが契約不適合責任を負う期間を3ヶ月間と定めていたため、AはBに対する契約不適合責任を追及する事ができません。そこで、Aは、マンションを施工したMに対し、施工不備を理由として、調査・補修費用、得られたはずの賃料、慰謝料、弁護士費用につき損害賠償を請求したとの事なのですが…

   

Answer

損害賠償請求は認めれると考えられますが、施工事業者の不法行為と相当因果関係のある損害に限定されます。

建物の施工者は、施主に対する関係で契約の内容に適合した建物を施工する義務を負っています。そして、直接の契約関係にない居住者等に対する関係でも、建物としての基本的な安全性が欠けることがないように配慮する注意義務を負っています。施工者がこの注意義務が怠ったために建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵があり、それにより居住者等の生命・身体・財産が侵害された場合には、施工者は不法行為による損害賠償責任を負うこととになります。

本事例と同様のケースにおいて東京地裁は、①について建物本来の機能・性能が著しく阻害され、カビ等の二次被害も発生しかねないため、建物の基本的安全性を損なう瑕疵に当たり施工業者の注意義務違反があると評価されましたが、②においては、そもそも外壁の貫通孔の防水が十分であれば雨水が侵入することもなかったとし、注意義務違反はないと評価されています。そのため本事案についても①については不法行為が認められAが支出した費用、得られたはずの賃料および弁護士費用につき損害賠償請求が認められるでしょう。なお慰謝料についてはAがこれらの財産損害への賠償をけてもなお慰謝されない精神的苦痛を負ったといえない限り、認められないでしょう。

 

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