不動産トラブル【5】説明義務(賃料減額)

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賃料減額の申し入れ。購入希望者への説明義務は?

Question

Aは、テナントが入居している建物をBから購入しました。当該建物は、不動産会社ZがBから一括して賃借し、Zがテナントに転貸していましたが、Zは、Bに代わって、Aと当該建物の売買の交渉に当たりました。

テナントは、Zに複数回、賃料減額を求める文書を差し入れるなどしていましたが、(ただし、借地借家法上の賃料減額請求権は行使されていませんでした。)Zは、テナントから賃料減額の申し入れを複数回受けていたことをAに説明しませんでした。

そのため、Aは購入後にその事実を知ることになり、Zに説明義務違反があるとして損害の賠償を請求しました。一方、Zは、借地借家法上の賃料減額請求権の行使はされていないこと、テナントからの賃料減額の申し入れ後も賃料は据え置かれたまま支払いが続いていたことから、損害を賠償する必要はないとして争っています。

Answer

説明義務は生じませんが、購入者の利益や意思決定に影響を及ぼす場合には、説明義務を負います。

本事例では、宅建事業者であるZはBに代わってAと交渉していたことから、その説明内容について売主と同様の責任を負うと解されます。しかし、本事例では、テナントからの借地借家法上の賃料減額請求権が行使されたわけではなく、また、賃料減額の申し入れが複数回あったものの、賃料が据え置かれたままテナントの支払いが続いていたことからすると、Zがテナントから賃料減額の申し入れを複数回受けたことをAに開示しなかったとしても、信義誠実の原則に著しく違反するとまではいえません。

この点、本事例と同様、テナントからの賃料減額の申し入れを複数回受けていた事実を説明しなかったことに関して、売主に代わって交渉を行っていた宅建事業者の説明義務違反が問題となった事例において、東京地方裁判所は、契約締結の可否の判断に営業を及ぼすような重要な事項について信義則上、売主は買主に対して一定の説明義務を負う場合があるとしたものの、本事例では説明義務違反はないと判断しました。