不動産トラブル【9】重要事項説明書の記載漏れ

 カテゴリー:   タグ:  | |

口頭で説明をしたものの重要事項説明書には不記載。損害を賠償しなければならない?

Question

一級建築士であるBは、宅建事業者Zの仲介により、既存マンションの一室を購入しました。しかしそのマンションは、建築後に高さ制限が付され、既存不適格建築物になっていました。Zは、Bに口頭で高さ制限の説明はしましたが、重要事項説明書には、高さ制限がある事、既存不適格建築物であることの記載をしていませんでした。

そこでBは、高さ制限及び既存不適格建築物であることの重要事項説明書への記載漏れ、既存不適格建築物であることの重要事項説明書への記載漏れ、既存不適格建築物であることは告知義務違反になるとし、マンションの価値減額相当額などの損害を賠償してほしいと求めています。しかしZは、売買契約前に、高さ制限があることをBに口頭で説明していること、Bは一級建築士であり、既存不適格建築物であることを認識していたであろうことから、損害を賠償する必要はないとして争っています。

  

Answer

損害賠償責任は負いませんが、記載事項の再確認は慎重に行うべきです。

宅建事業者は、購入希望者に対し、契約の目的を達成するために重要な事項を記載した「書類を交付して」、重要事項を説明しなければなりません。万が一重要事項説明書に誤記や記載漏れがあった場合、宅建事業者は、宅地建物取引業法違反を理由に罰則等を受ける可能性があります。ただ、違反することによって直ちに損害賠償責任を負担するわけではありません。

仲介事業者が説明すべき方法や程度は、買主が一般の消費者か仲介事業者等かなどの買主の属性等を勘案して、買主が契約を締結するか否かを的確に判断することのできる程度のものであることを要すると解されています。本事例では、Zは、売買契約前にBに口頭でマンションに高さ制限があることを説明しましたが、これにより、一級建築士であるBは、マンションの状況を正確に理解し、マンションを購入するか否かの意思決定をすることが出来たといえます。したがって高さ制限およびマンションが既存不適格建築物であることの口頭の説明がなかったとしても、Zに告知義務違反があったとはいえません。