不動産トラブル【R3/5/24】 外国人に対する説明責任

 カテゴリー:   タグ: 

日本語が理解できない外国人との売買契約

Question

B(外国人)は、不動産会社Zから新築マンションを購入することにしました。

Bは日本語が理解できない外国人であったため、契約締結に先立ち、Zは、重要事項説明書、売買契約書を日本語で説明して読み上げ、

通訳兼連絡窓口のAがその内容をBが理解できる言語で通訳しました。

Bは、銀行からの融資で購入資金を準備する予定でしたが、当該銀行は提携金融機関ではないため、融資が実行できなかった場合でもローン特約による白紙解除はできないという契約内容になっていました。

そして、Zは、その旨を記載した確認書を日本語で説明して読み上げ、AがBに通訳。その上で、BはZに手付金を支払い、売買契約書や確認書などに署名・押印をしました。

ところが、結局ローンは下りず、Bは購入資金を準備できませんでした。

Bは、Bが融資を受けられなかった場合の措置についてZから十分な説明がなかったとし、Zに支払った手付金相当額を返還してほしいと求めており、

Zは、Bには十分な説明をし、Bも理解をしていたのだから、手付金相当額を返還する必要はないとして争っています。

Answer

通訳を介して説明をし、署名捺印を得ていれば手付金相当額を返還する必要はありません。

本事例では、Zは、重要事項説明書、売買契約書を日本語で読み上げるだけでなく、Bがその内容を理解できるような通訳をしています。

特に重要なローン特約に関する取り決めについても別途確認書を作成し、確認書の内容も通訳したうえで、Bから署名捺印を得ていますから、

十分に重要事項の説明義務を果たしていたといえます。

この点、本事例と同様、日本語ができない外国人が買主となった売買契約において不動産業者である売主の説明義務が問題となった事例で、

東京地方裁判所は、売主に説明義務違反はなかったと認定しています。よってZは手付金相当額を返還する必要はありません。