不動産トラブル【R3/5/17】 不動産会社の説明義務

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賃貸中物件の契約不備を知りつつ、売買仲介した不動産業者の責任について

Question

Aは不動産業者のCの仲介により、所有する建物について、借主Bとの間で賃貸期間を1年する定期借家契約を締結しました。

ただ、同契約時に、借地借家法第38条2項規定の説明書(契約の更新がなく期間満了により建物の賃貸借が終了する旨を記載した書面)は交付されていませんでした。

そのあと、この建物と土地の購入希望者が現れたため、Aは不動産業者Zの仲介により、定期借家契約の終了を前提に、土地建物の売買契約を締結しました。

なお、ZはBとAの契約について、借地借家法38条2項規定の説明書が交付されていないことを知っていました。

Aが定期借家契約の終了をBに通知したところ、説明書が交付されていなかったことを理由にBが定期借家契約は効力を有しないとして退去を拒否したため、

Aは売却のために退去してもらうべく解決金の支払いを余儀なくされました。

 

そこで、AはZが定期借家契約の効力を有しないという重要な事実をAに説明しなかったとし、Bに支払った解決金相当額などの損害を賠償してほしいと求めました。

Zは、定期借家契約として無効であったことに起因する損害はCに請求すべきで、Zが責任を負うものではないから、損害を賠償する必要ないとして争っています。

Answer

売買を仲介した不動産業者は、売主が被った損害を賠償しなけらばなりません。

仲介を行う不動産業者は、売買の仲介において、契約の目的を達成するために重要な事項について調査し、これを委任者に対し、適切に説明しなければなりません。

にもかかわらず、不動産業者が重要な事項についての説明を怠った結果、委任者が損害を被った場合には、不動産業者は委任者に対し、損害賠償責任を負担しなければなりません。

不動産業者が委任者に説明を行う前提として、調査を行う義務があるか否かが問題となる場合があります。

一般的に、不動産業者が容易に知り得る事項や取引の状況を勘案すれば不動産業者が当然に調査すべきと考えられる事項については、不動産業者に調査義務があると考えられます。

本事例では、借主との定期借家契約を仲介したのは、確かにZとは別の不動産会社Cでしたが、Zは、定期借家契約の説明書が交付されていない事実を知っていた以上、調査・説明義務違反を免れることはできません