不動産トラブル【R4/3/29】 暴利行為による公序良俗違反

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認知能力の低下した高齢者との売買契約後「無効」と言われた不動産会社は…

Question

82歳のAは、唯一の居住場所である所有マンションを宅建事業者Zに350万で売却しました。その際、Aは登記手続き費用として30万円を負担し、また、Aは売却した物件について、Zとの間で、1ヶ月間、賃料22万を支払うという内容の賃貸借契約も締結しました。

その後、Aは、売却したマンションの固定資産税評価額は1,200万円余りであり、他の同条件の部屋はリフォーム後の取引価格は2,000万円を超えているから「Zとの売買契約は、暴利行為に該当し、公序良俗違反で無効である」と主張。Zは「同物件は古いためフルリノベーションが必要であり、売却価格は適切であるから、Aの主張は認められない」として争っています。

Answer

売買契約は公序良俗違反として無効となります。

暴利行為とは、相手の困窮や知識不足、無経験などに付け込んで著しく不当に過大な利益を得る行為です。暴利行為は、公序良俗違反として、民法第90条により無効となります。

本事例では、マンション住戸を再販売するにあたりリフォーム代がかかるとしても、売買代金は固定資産税評価額の3割、想定される取引価格の2割にも満たない金額であること、通常は買主が負担する登記費用30万円を売主であるAが負担していることを考えると、A・Zの売買契約は著しく低廉な価格での取引であると言わざるを得ません。

また、売買代金が著しく定額であるのに対し、Aは居住を続けるためにZとの間で、22万円という高額な賃料を支払う内容の賃貸借契約を締結しており、売買契約を締結した上で、このような賃貸借契約を締結することは、Aにとって著しく不利益で不合理なものといえます。本件の売買契約は、82歳という高齢で理解力が低下していた可能性があるAに十分な説明をしないまま契約を締結させ、暴利を得ようとしたものというほかはありません。

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