不動産トラブル【R4/4/12】 違約金の請求

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契約を債務不履行で解除しますが、違約金の満額請求は可能?

Question

宅建事業者Zは、マンションの1室(以下、「本物件」)をBに販売することになりました。その際の売買契約の条件としては、①売買代金3,640万円②手付金200万円③ZまたはBに債務不履行があったの違約金が売買代金の20%である728万円とされていました。

Bは売買契約時に手付金200万円をZに支払いましたが、その後にBの配偶者の理解が得られなかったとして、支払期日が過ぎても売買代金を支払いませんでした。そこで、ZはBの代金不払いという債務不履行を理由に、売買契約を解除しました。なお、Bは、売買契約を解除されるまで手付放棄による解除を行っていませんでした。

その後、ZはBに対し、違約金728万円から手付金200万円を控除した528万円を請求しました。これに対し、BはZがBとの売買契約を解除してから約20日後には本物件を第三者に販売し決済することができていたことを踏まえ、Zに実質的な損害が生じていないとして違約金の支払いを拒んでいます。

Answer

信義誠実の原則により、請求できる違約金は制限されるでしょう。

本事案では、売買契約書において宅建業法38条に沿った違約金(売買代金の20%)が規定されています。しかしZは売買契約の解除後、速やかに本物件を第三者に販売できているため、売買代金の20%もの損害が実際に生じているのか疑問ではあります。このように具体的事情を考慮し、違約金の約定をそのまま適用することが妥当であるか否かという問題認識は、民法の信義誠実の原則に反し違約金の請求が制限されないか、という形で現れます。そして、本事案ではBに約定通り728万円もの違約金を負担させることが信義誠実の原則に照らして許されないと判断し、Zが請求することのできる違約金を、交付済みの手付金200万円に200万円を加えた400万円に限定すべきであると結論付けています。

不動産の売買契約では、売買駄金の割合の応じた違約金を定める場合があります。違約金の規定は、民法上、債務不履行があった場合の賠償額の予定であると推定されます。そして、宅建事業者を売主、宅建事業者でない者を買主とする売買の場合、違約金は売買代金の20%を超えてはならず、20%を超えた部分は無効とされます。

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